茨城県にある、ほしいも神社を訪ねて。美容と健康に知られざる「干しいも」の魅力

少し前に水戸へ行く機会があったのですが、その時に、茨城県が納豆だけでなく「干しいも」の一大産地であることを改めて知りました。とりわけ、水戸市の隣のひたちなか市では「干しいも」づくりが大変盛んで、阿字ヶ浦というローカル線の終着駅近くには全国で唯一のほしいも神社まであります。

さらに、この海街自体の興味深い昭和ヒストリーも知ることができたので、「干しいも」のことと併せてご紹介したいと思います。

実は干しいも生産量No.1の茨城県

「干しいも」について調べてみたところ、茨城県で全国の9割を生産しているというデータがすぐに出てきて驚きました。原料のさつまいもの生産でも茨城県は全国2位のシェアということです(シェア1位はもちろん薩摩の鹿児島県ですが、茨城県はそれに続いています)。

そんな茨城県内で特に「干しいも」づくりに積極的な地域がひたちなか市で、街の至るところで生産者の姿を見かけます。この街で「干しいも」づくりが始まったのは明治時代後期とのこと。生育に適した土壌だったことでさつまいも生産がまず広がり、冬の降雨量が少なく海風の吹く気候風土が乾燥の工程に向いていたことなどから、「干しいも」という特産品を生み出す街へと発展していったのだそうです。

女性にうれしいスーパーフード!干しいもの魅力

では次は、美味しくて栄養価も高い、自然の恵みいっぱいのこの「干しいも」の魅力を、健康と美容の視点からお伝えします。

女性を虜にする「干しいも」のあの甘さ。さつまいもの甘みだけで添加物や保存料は使われてないため、従来の素朴なおやつということだけでなく、健康スイーツとしても注目度が高まっています。また、美味しくヘルシーなだけでなく、たくさんのビタミンとミネラルが含まれているので、美容効果に優れたスーパーフードともいわれています。

美肌効果が期待できる豊富なビタミン類

特にビタミンCが豊富でリンゴの10倍もあるそうです。そのため、風邪の予防に最適。

さらに、ビタミンCに加えビタミンEも豊富なので美肌効果も期待大。ビタミンEの抗酸化作用に加え、ビタミンB1の疲労回復効果により、アンチエイジング的にも最高です。

水溶性と不溶性のバランスがとれた食物繊維

そして何といっても、食物繊維が豊富に含まれていることが「干しいも」の素晴らしいところ。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらもバランス良く含まれているため、便秘の予防や改善にとても効果的です。また、コレステロールの吸収を和らげる効果も報告されています

女性にうれしいカリウムと鉄分

カリウムと鉄分が多く含まれていることも見逃せません。カリウムは、むくみの予防や改善に効果的で高血圧の予防も期待できますし、鉄分摂取は、ご存知の通り貧血気味や低血圧の方に必要なこと。成人女性が一日に必要な鉄分の5倍の量が「干しいも」にはあるそうです。

ただ、食べ過ぎには注意!

なお、乾燥させたことにより甘みや栄養が凝縮されているところが「干しいも」の凄さですが、気をつけないといけないのが食べ過ぎです。凝縮されている分、カロリーも増加していて、さつまいもの約2.3倍のカロリーといわれています。大きさや厚さにもよりますが、一日に2~3枚くらいを食べる量の目安にすると良さそうです。

砂糖を使った華やかなスイーツの代わりに適量の「干しいも」を食べることでダイエット効果も期待できますよ。噛み応えがあるものなので、よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防止することもできてしまいます。

「東洋のナポリ」から干しいもの街へ

ところで、ほしいも神社のあるひたちなか市の阿字ヶ浦は今はとても静かなところですが、かつて阿字ヶ浦海岸は東洋のナポリとよばれていたんだそうです。風光明媚なその地は、東京から行ってみたい海水浴場の一つとして夏の盛り上がりが半端なく、何と1980年代前半には、JR上野駅から常磐線経由で茨城交通の阿字ヶ浦駅まで臨時急行「あじがうら」が直通運転していたのだと!

ビーチ近くには、ホテルや旅館がぽつぽつと残っていて往時を多少感じることができますが、やはり今は「干しいも」の街という印象が強いです。それを象徴するほしいも神社は、阿字ヶ浦駅を出て海岸方面に向かってすぐにある堀出神社境内に、2019年11月23日に開設。

黄金色の鳥居が、「干しいも」カラーで輝いてます。

「干しいも」は、さつまいもを蒸して乾燥させて製造するものですが、その発祥は静岡県で江戸時代だそうです。その後、ひたちなか市など茨城県の海沿いで盛んになり、今では茨城県が日本一の生産量に。また、「干しいも」といえば、平べったい形の平干しが一般的でしたが、茨城県の生産者が紅はるかなどの丸干しタイプを広めたことで、品種や甘さの違いも楽しめる、現在の豊かな「干しいも」ワールドとなりました。

次回はそんな多様な「干しいも」の、食べ比べレポをお届けします。

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