お湯に浸かるだけにあらず。全国で広がる「銭湯カルチャー」がおもしろい!

仕事でのハードな日々が続いていたせいか、ようやく眠れてもすぐに起きてしまう寝不足な状態のため、久々に銭湯に行こうと思っています。湯船に浸かるとからだも心もほぐれ、ぐっすり眠れるようになりますよね。

ところで、最近20~30代の人達が新しい発想で銭湯を活用している話を聞く機会が多く、銭湯好き江戸っ娘の私は凄く嬉しいです。1965年には全国に約22,000軒あった銭湯も、今は3,000軒台にまで減少。週に1軒のペースで廃業と言われてきましたが、最近では、情報発信地や交流の場として活用したり、異業種とのコラボ企画や健康・四季をコンセプトとしたサブスクてきサービスまで始まっています。

また、街の中にある魅力的な空間として、銭湯を別のスペースに再生することも!そういったわくわくする銭湯活用の動きについて2回に分けてご紹介します。

利用者が思う、銭湯へのイメージは?

株式会社マーケティング・リサーチ・サービスが実施した、「銭湯の利用実態と、利用者の消費意識」に関するアンケート調査の結果をまずお伝えしますね。対象は、「銭湯を2ヶ月に1回以上利用する」20~34歳の若年層ユーザー164名と、35~49歳の中年層ユーザー137名で、2019年9月から10月のインターネットでの調査です。

銭湯に対するイメージや印象についてTOP3には、

〈若年層は…〉

  • 癒される
  • 知らない魅力がある
  • 新しいことに取り組んでいる

〈中年層は…〉

  • 癒される
  • 疲れが取れる
  • 気軽に行ける

を選択。「知らない魅力がある」と考える若い銭湯ユーザーには、銭湯そのものの機能面よりも、情報志向であり話題が先行している人が多そう、とまとめられています。

​このマーケティング会社が本調査を行った背景が興味深く、若者を中心に銭湯のユーザーが広がっているらしい、というニュースを目にしたからだそう。テレビやネットメディア等でも、ファッションブランドとのコラボやアート系のイベント開催などが取り上げられ、銭湯運営サイドも若者をターゲットとして意識しているのではないかと。

銭湯が若者の利用により本当に復活の兆しを見せているのならば、ユーザーが離れつつある銭湯以外の産業の復活のヒントにもきっとなるのだろうとのこと。私もそう感じ、とても期待しています。

銭湯プロジェクトが多種多様に進化中

コンサートや落語会、ヨガ教室、映画配給会社とのコラボイベント、サイレントフェス、さらにはVRを使った絶景風呂企画などなど、銭湯での企画は色々行われてきていますが、私が最も驚いたのは、セレクトショップの「アーバンリサーチ」とのプロジェクトです。

日本各地の企業やクリエイターによって創られるローカルコミュニティと共に、その土地の魅力を再考し発信していくアーバンリサーチによる「JAPAN MADE PROJECT(ジャパン メイド プロジェクト)」

6つ目の対象となった地域が東京で、彼らはコミュニティの場として何と銭湯に着目。今年3月から高円寺の「小杉湯」とタッグを組んで都市における銭湯の可能性にチャレンジしています。銭湯を起点とし、街の回遊が一着で叶うようなアパレルの展開を中心に、入浴シーンに欠かせない雑貨アイテムも取り揃えているそう。

定期便はじめました/高円寺「小杉湯」

「小杉湯」は、さらにこんなサービスの拠点にも。おうちで四季の入浴体験が出来る「お風呂のもと 定期便です。

「銭湯ぐらし」という会社と「小杉湯」が共同で考えた、春・夏・秋・冬、それぞれの季節にぴったりのお風呂のもとを毎月1回送るという、言わばお風呂サブスク。例えば7月と8月は、ハーブソルトと夏の漢方風呂各2個と、定番の米ぬか、ゆずの各2個、それにおまけのあひる1個というセットです。

カルチャーの先駆け的存在/京都「サウナの梅湯」

「小杉湯」以外にも、ニュージェネレーションが銭湯をアクティブにしたケースはいくつかありますが、有名なのは「サウナの梅湯」の湊三次郎さんではないかと思います。

京都の五条楽園と呼ばれる旧遊郭地帯で、2015年、当時24歳の彼が経営を受け継いで以来、若者の銭湯&カルチャー・ブームを牽引。私も以前、京都滞在時に堪能したのですが、その後、2階にはタトゥースタジオもオープンしたそうです。

これ銭湯?なおしゃれ空間/八丁堀「湊湯」

また、東京では八丁堀にある「湊湯も、若いオーナーのセンスが光っています。以前は洋服関係の仕事をしていた岡村周明さんは、2010年のリニューアルのタイミングで経営者となり、異空間を楽しむ場として様々な新しいアイデアを実現

光と泡の空間やシルク風呂は異空間や小旅行感を演出する工夫だそうで、保温・保湿効果に優れている軟水のお湯を使用することにより乾燥肌の方や女性客の心まで掴んでいます。ちなみに、メガネ業界出身の弟さんも品川で銭湯のオーナーをしていて、おしゃれイケメン兄弟として銭湯活性化のイベントやメディアに登場しています。

銭湯は、私がものごころついた時にはもう斜陽産業と言われてきていましたが、ちょっと今までとは違う面白いことが最近生じてきている気がします。京都へ旅行へ行く時に、4〜5年くらい前から銭湯巡りをほぼセットにしていて、その時も「サウナの梅湯」の突き抜け方に刺激を受けました。こんな動きを見ていると、おとなのための新しい銭湯をかまる流としてはプロデュースしてみたくなりますね。

次回は、銭湯に入り放題の民泊サービスを始めているところや、おもしろい企画満載の銭湯+カフェバー・スペースに生まれ変わらせた事例などをレポートしたいと思います。「SENTO FOREVER」という銭湯好き女子によるプロジェクトの、クリエイティブで楽しい活動についてもご紹介しますのでお楽しみに!

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