いま気になる、銅の除菌力。身近な銅アイテムの知られざるパワーとは?

新型コロナウイルス感染拡大防止に期待…という群馬大学発ベンチャー企業のニュースによって、改めて注目されている「銅」。あまりにも身近なこの金属について、実は以前からとても気になっていました。

自宅の中を見渡しても、排水口のフィルターとして使っていますし、

銅製フィルター

スッカラ(韓国の真鍮製スプーン)や、インド人の友人からのプレゼントの銅製コップなんてものも。10円玉もそうですよね。

スッカラ

銅にはこれまでどんなストーリーがあって、そして世界各地でどういう形でその魅力が活用されてきたのかを、「からだへのよさ」をキーワードにご紹介します。

銅パワーに世界中が魅了され続けてきた!

エジプトでは生命を象徴する「アンク」と表現され、古代ローマ人は占星術で「ヴィーナス」となぞらえ、中国では「気」と呼ばれていた銅。黄金マスクで有名なツタンカーメンの名前も、分解するとこの「アンク」が使われているそうです。

そしてエジプトの神殿では給水管に銅管が利用されていたり、創傷治療や飲料水の消毒などにも当時使われていたというのです。

古くから活用される銅の抗菌パワー

銅の抗菌効果については、エジプトだけでなく世界中の人たちが気づき活用してきています。例えば日本では、江戸時代の歌舞伎の際にかつらの裏側に銅版を貼って汗臭くなるのを防止したという記録も残っているとのこと。

現代では、わが家にもある排水口グッズや三角コーナーをはじめ、公共施設や医療施設では銅製のドアノブや銅製手すりを設置していたり、世界各国で銅製鋼管が使用されています。あとは環境に影響を与えない銅成分を使った農薬とかも。

抗菌だけじゃない!銅のすごい実力

銅の抗菌パワーについて、もちろん情報として今一番知りたいのは新型コロナウイルスに対する除菌製品ですよね。こちらは、次回詳しくご紹介しますのでお楽しみに。

銅イオン水「エアアトム」

というのは、抗菌力以外にも銅パワーの凄さが色々あるからなんです。

1.銅は熱伝導が秀逸

その一つが熱伝導の力。フライパンや日本独特のものだと卵焼き器で銅製のものを見たことがあるのでは。一気に熱がまわり均一に火が通ることで、きれいで美味しいあの厚焼き玉子が出来上がるのです。逆に冷えるのもあっという間なため、銅製タンブラーで飲むビールにはまる人も。

私がからだで強く感じたのは20年近く前の中国・北京での羊鍋。シュアン羊肉といって真ん中が筒状になっている銅製しゃぶしゃぶ鍋なのですが、冬の強烈な冷え込みと乾燥状態の北京では、この銅鍋料理のお陰でからだがぽかぽかに。もちろん、銅鍋の力だけでなくからだを温める羊肉と、生姜・くこの実・なつめなどが入った薬膳ベースがあってなのですが。

【銅鍋を体感できる東京の料理店】

北京まで行かなくても、近場では、神田の「味坊」でも体感できますよ。飲食業界内でも注目され続けている、中国東北料理+ビオワインが特長のお店で、三軒茶屋や御徒町にもたまらないお店を出し、ラボまで構えたオーナーの梁さん。

彼の日本での原点である神田「味坊」のこだわりのひとつが銅鍋です!北京から仕入れたという銅鍋に、さらに炭火を使っての絶品鍋は私の冬の楽しみ。日本におけるここ数年の羊料理ブームのキーパーソンである梁さんについてはまた別の特集記事で。

2.宇宙船や人工衛星にも銅が使われている!

さて、銅の魅力はまだまだあります。

なんと、宇宙船や人工衛星にも銅は利用されているのだそう。宇宙船の場合は、温度差の均熱化や摩擦熱による燃え尽きを防止するため…と少しむつかしいですが、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」では小惑星の衝突実験で銅の弾丸を打ち込むことに成功した、というニュースを見ました。

人工衛星イメージ

そして、地球上においては、電線や電子機器に欠かせない金属であることはなんとなく知っていましたが、電子データの運び手としてさらに社会インフラを支えているそうです。IT時代の今、そして未来にとって銅はなくてはならない存在ということがわかってきました。

3.もちろん人体にも欠かせない銅

さらに、私たちの生命と健康にとっても重要な存在であることを忘れてはいけないですね。

血液や色素を作ったり、骨や血管を正常に保つほか脳の働きを助けています。人間のからだにとって不可欠な栄養素であるこの銅をテーマとしたレシピや健康記事も、勉強してアップしたいと思っています。

銅は毒性がある!?その真実は…

銅というとネガティブな印象をもたれる人もいるかもしれません。

日本では、教科書で習った足尾銅山鉱毒事件という不幸な事件がおき、苦しんだ方が数多くいます。ただ、銅自体に害があるわけではありません。銅がさびた時の青緑(ろくしょう)のその色から、毒があぶないと言われていたりもしましたが、緑青が無害であることは1984年に厚生労働省が発表しています。

銅を使ったインドの健康法を紹介!

昔からの知恵には色々なことがありますが、そういった中でインドでの健康法のひとつを最後にご紹介します。

インドでは銅に水を浄化する作用があるとされ、銅の容器は様々な用途で使われています。アーユルヴェーダにおいては、銅製の容器(コップなど)へ一晩入れた水を朝飲むと健康の維持・促進によいとされていて、私も実践派です。目や顔を洗ったりするのにもよいとも。

古くから生活に取り入れられて、現在も身近なくらしの中で役立っている「銅」。現代の通信社会を支え、そして、宇宙空間での活用と、生命にとっても不可欠な栄養素であることを知って、なんだか不思議な気持ちになりました。

次回は、新型コロナウイルス対策用に続々と発売・発表されている銅製品の数々をご紹介します。日本の開発の力が発揮されまくっていて、有益なだけでなく元気ももらえますよ。

最新情報をチェックしよう!