「 珪藻土 」とは、土なのかいったい何でできているものなのかからはじまり、果たしてどんな効果がある素材なのか等を、前回ご紹介しました。(前回の記事はこちら)
バスマットだけでなく、エコで健康にもよい壁材としても注目されている「 珪藻土 」と、古くから使われてきている「漆喰」という伝統的素材について、今回は深堀りしてみます。両方の特徴を知ることによって、からだの不調を飛躍的に改善できる方法が見えてくるかもしれません。
珪藻土と漆喰の違いとは?
まず、意外と知られていない珪藻土と漆喰の違いを説明しますね。
一番の違いは原料です。珪藻土は、前回も書きましたが「堆積物」の一種です。

珪藻土でできた乾燥剤
無数の小さな穴が開いていることにより断熱性や耐火性に優れ、そのため珪藻土を削りだして七輪などに使用されてきました。近年注目されているのは、それ以外の効果の消臭や吸放湿性の方で、建材会社などが開発を進め2000年頃から壁材としても普及が広がりました。
漆喰の方は「石灰」を利用しています。昔の学校で校庭にラインを引いていた、あの白い粉が石灰のわかりやすいイメージ。

漆喰の原料である石灰
これらにワラやスサを混ぜ、海草などから採取した糊を混ぜると壁材等に使う漆喰となります。漆喰は、なんと古墳時代から使用されていたらしく、城の外壁に用いられたり、一般住宅でも使われてきました。
珪藻土と漆喰の自硬性の差
珪藻土と漆喰の原材料と歴史がわかったところで、一番知っていただきたいのは、自硬性です。リフォームやDIYなど住宅で使用していくには、ここが大きなポイント。
珪藻土そのものは、ボロボロ崩れてしまうもので、自らは固まりません。

珪藻土壁イメージ
そこで珪藻土建材メーカーは、石灰やセメントや粘土、そして合成樹脂等を添加することにより、硬化させて壁材として使用できるようにしたのだそう。特に合成樹脂を添加したものは施工性が格段によくなるため、私たちがローラーで塗ることのできる製品がホームセンターなどで販売されることにまで。
でもそこで注意したいのが、これまで強調して説明してきた珪藻土の本来もつ吸放湿や消臭パワーが、そういった合成樹脂の比率が高い製品でどのくらいあるのかです。また、“天然素材100%”と謳っていても必ずしもそうでない製品があるところなどは、このサイトで積極的に取り上げている 次亜塩素酸水 製品の業界と少し似ているような気もします。とはいえ、ホルムアルデヒドの放出基準値はクリアしていて問題は無いらしいのですが…。
片や漆喰の方は、空気中の二酸化炭素と反応して自ら固まっていきます。

漆喰壁イメージ
簡単にいうと、固めるための余計なものは足す必要がありません。シンプルゆえに昔から壁材と使用され続けてきました。
また、珪藻土そのものほどではありませんが、吸放湿性能もありますし、自然素材の風合いをとても感じられます。抗菌性や防虫効果も。デメリットとしては、施工がむつかしいこととコスト面のようです。
珪藻土の利点を活かしてリノベするには?
さてここまで理解して、珪藻土の価値である除湿、消臭、保温、耐火効果が十分に活きる壁材で部屋をリノベするとしたらどうしたらよいのだろう?と思いました。
そんな疑問に、知り合いのWEBデザイナーさんから教えてもらったのが、「珪藻土配合漆喰」という、珪藻土と漆喰のいいとこ取りをしたプレミアム珪藻土壁材の存在。お手軽な塗り壁材とは違いプロに施工をお願いする必要がありますが、珪藻土+漆喰による塗り壁のよさが体感できるんだそうです。
今回、そのプロの会社、(株)根子左さんから、珪藻土配合漆喰による実際の施工例の写真をお借りすることができました。

以前住んでいた家の湿気・カビに悩まされていたこちらの家主。珪藻土配合漆喰の壁を採用した家は、カビが発生しないばかりか、夏は涼しく冬は暖かで快適とのこと。 画像提供:(株)根子左

ケアステーションでの珪藻土配合漆喰施工。多くの人々が生活する場の匂いが解消され、利用者の方々のストレスも軽減されているそう。 画像提供:(株)根子左
(株)根子左さんの左は、「左官」のことだそう。漆喰の説明のところで書いたように、漆喰は施工に高い技術を要するのですが、それを形にできる職人さんが「左官」です。

画像提供:(株)根子左
茨城県水戸にある会社で、現在進んでいる水戸城の復元整備での漆喰壁の施工を担当していると聞いて、伝統や日本の歴史・文化好きな私としてはより興味が高まっています。
画像提供:(株)根子左