新型コロナウイルスを想定した新しい生活スタイルの一つとして、ここのところ、住環境や職場環境をどう見直していくのかについても、かなり意識されてきているように感じます。
テレワークによって自宅にいる時間が増えた方も多いでしょうし、ウイルスだけでなくこれからの梅雨の季節に生じる室内の湿気や匂いなどにも、より敏感になっていたり。巣ごもり期間中に感じた、長くいるお部屋や空間の改善ヒントとして、今回は「 珪藻土 」についてご紹介します。
バスマットやコースターでお馴染みの 珪藻土
「 珪藻土 」ときくと、お風呂からあがった時のバスマットとしてのプレートが思い浮かびますよね。それ以外にも、キッチンの水切りマットや、グラスを置くコースターなど、吸水性を活かした製品が増えています。
そんな「 珪藻土 」についてもっと深く知ると、今だから注目すべきポイントや、からだの不調を改善してくれるかもしれない数々のパワー、そして意外と知られていない誤解などが見えてくると思います。実際に私もこのバスマットのことでしか知識がなかったのですが、目からうろこ状態です。
そもそも 珪藻土 とは?
そもそも「 珪藻土 」とはどんなものなのでしょうか。珪藻は太古の海に生息していた藻類の一種で、死滅すると有機物が分解されて、殻の部分のみが残ります。この珪藻殻が堆積して化石化したものが 珪藻土 です。

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日本でも古くから七輪や耐火耐熱レンガの原料として使われてきました。特徴の一つが火に強いことからです。
また、その珪藻殻にはさまざまなタイプの小さな孔(穴)が多数あいているため、 珪藻土 はとても軽く、水分を大量に吸って保つことが可能なんです。
さらに、水分を吸っても乾燥状態で放湿する機能をもっているため、すぐに表面がサラサラ状態になります。
除湿や消臭に優れていて壁材としても活躍
このあたりのことまでは知っている方も多いと思いますが、実は 珪藻土 には大きくわけて3種類あるんです。
その中で、私たちに縁があるのは「融剤添加焼成品(白色)」といって、良質の乾燥品に食塩とソーダ灰を加え、約1,100℃で焼成し、目詰まりしている不純物を燃焼除去させたもの。意外ですが、食品添加物としても認められています。粉末状で色はホワイト。この白色の良質な 珪藻土 が、バスマットだけでなく、毎日の生活の場であるお部屋、そしてお店や施設などの壁でも活躍しています。

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これまでは、自然素材にこだわる一部の人たちが木の多いエコな家で使っているようなイメージでしたが、住んでいる空間環境を見つめ直しはじめている今、除湿、消臭、抗菌、保温、防虫、耐火効果に優れる壁材としての 珪藻土 、要チェックですよ。
珪藻土 の壁にリフォームしたら…?
お部屋などを 珪藻土 を使った壁にリフォームした時のメリットを、ちょっと整理してみました。
私が一番注目しているのは、やはり湿気を解消してくれる力。これからの梅雨の季節は除湿機を使っても追いつかないくらいですし、除湿機によって室内が暖かくなるのも今ひとつで、電気代も気になります。また冬の結露によって、注意していても部屋の隅などにカビが残っていたりと、年間を通しての湿気+カビとの戦いに終止符を打ちたいと以前から思っています。この季節に体調をくずす原因が家にあると思うと悲しいですし。
また、わが家は喫煙者はいないのでタバコの問題はありませんが、排水の匂いや以前猫を飼っていた時はどうしても消臭との戦いでした。 珪藻土 の壁は、室内の消臭、空気の清浄・活性が図れて、夏涼しく冬暖かい環境にもなるそうです。アトピーや喘息気味の人、花粉症、そしてウイルスが気になる人の気持ちもなんだか安定するように思います。
これらは、呼吸している自然素材といわれる珪藻土だからこそもたらしてくれる効果なのですが、そこには珪藻土のパワーを活かしたまま壁材として塗れるようにするための開発の歴史があったそうです。次回はそのあたりのストーリーと、あまり知られていない珪藻土業界の事実、そして 珪藻土 の壁材による具体的な施工例などをご紹介します。
今、住んでいる家は、採光も風のぬけもよく、環境的にもとっても気にいっているのですが、旅行が好きなことと併せて、別の土地での生活を妄想したりもします。違った環境で生活した時にも、最初に大切にしたいことは、やはり住む環境です。コンクリートの建物から離れた生活は現実的にむつかしい中、どうやってからだによい毎日をおくれる空間を整えられるかは、年齢を重ねてより重要になってきました。
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