「次亜塩素酸水」は効果がある?情報の罠に振りまわされないために知っておくこと

巷では、次亜(じあ)と短縮しても呼ばれている「次亜塩素酸水。新型コロナウイルス対策として、こんなにも「 次亜塩素酸水 」という言葉が知られるようになったのは、アルコール消毒液不足という状況があったからですが、それだけではない特殊性や業界事情も影響しています。

コロナ禍で注目があつまる「 次亜塩素酸水

かまる流では、今年4月の時点で「 次亜塩素酸水 」を中心とした第ニ・第三の除菌剤情報と注意点を発信してきました(記事はこちら)。正確にいうと、除菌剤はマスク以上に自己判断や知識が問われることになるに違いないと思い、コロナ禍ゆえにこのサイトをはじめたところもあります。

「除菌疲れ」というワードがまだどのメディアでもほぼ使われていない時に発信したためか、専門家や除菌成分開発会社、以前から次亜塩素酸水生成器を使用していた歯科医や獣医、飲食店の方などの協力や情報提供を得ることも出来ていて、ありがたく思っています。

そこで今回は、様々な情報や飛び交う報道に振りまわされないために、でもなるべく難しい用語は避けて、今生じている次亜塩素酸水の問題のポイントを整理してみたいと思います。

①次亜塩素酸水は“魔法の水?”

  • 水から無尽蔵につくることができる“魔法の除菌水”のようなイメージをもちやすい。

次亜塩素酸水は、今でこそ各社からボトルの製品が数多く発売されていますが、元々は生成器(除菌水がつくれるマシン)で流通しています。

タイプや販路は分かれますが、水と希塩酸だけで、一度マシンを購入すれば半永久的に食器などを消毒・除菌できるという飲食店現場などが以前からもっている印象に、歯科医院(動物病院などでも)で機材や口腔洗浄に使われているという信頼性が相まって、魔法感が高まったような気がします。

生成器であることには理由がありますし(後で説明します)、そのことが特殊性の一つでもあることをまず理解しましょう。

②次亜塩素酸水と次亜塩素酸水ナトリウムで誤解?

  • 次亜塩素酸水と次亜塩素酸水ナトリウムが混同しやすいことで、誤解が生じることが。

以前の記事でも説明しましたし、今は色々なメディアやサイトでも解説されていますが、やはりこの似た表記ゆえのわかりにくさや安易な認識によって、勘違いはおきやすいようです。

次亜塩素酸水を噴霧することで事故にまで至ったような報道がされていますが、私が把握している限りでは、次亜塩素酸水を噴霧して具合が悪くなったというのは、次亜塩素酸水ナトリウムを希釈したものを噴霧したことからおきたケースも含まれてのことのようです。

除菌全般にいえることとして、どう除菌されたのかの体感がないため、何が影響しての体調不良かの因果関係も難しいですよね。

③業界が玉石混合でわかりにくい?

  • 国の管理が中途半端だったため、次亜塩素酸水業界が玉石混交なことによるわかりにくさ

①で書いたように生成器として流通した理由は、次亜塩素酸水が紫外線等によって効果が低くなり保存期間が短いことによります。飲食店などでは次亜塩素酸水は流しっぱなしで使用するのが基本で保存はしません。

森永乳業が飲食店や施設などの法人向けに販売している生成器に「ピュアスター」というシリーズがあり、サラヤが法人販売もするなどこの分野では信頼感が高いです。それは、次亜塩素酸水が食品添加物の殺菌料であるからでもあるのですが、食品添加物としての規定pH濃度とは違う製品を曖昧な表現で販売している会社がこの業界には存在しています。

ピュアスター(生成水サンプル)

また、食品衛生法上は次亜塩素酸水そのものが流通することを前提にしていないため、ボトルに充填して販売や配布した時点で食品添加物からは外れることとなります。販売・配布を行う際には“食品に適用するものではない”ということを注意喚起しなければいけないのですが、徹底されているとはいえません新型コロナ対策で、地方自治体が次亜塩素酸水生成器を導入して無料配布していること自体は私は素晴らしいアクションだと思いますが…。

さらに、別の方法(二液混合という、 次亜塩素酸ナトリウム と希塩酸と水を希釈する方法)で生成した次亜塩素酸水は分類としては雑貨なので、pHや濃度に規定はなく、食品以外は何に使っても構わないということになります。ここがまたわかりにくさを高めています。

④開発製品が溢れ情報錯綜状態に?

  • 次亜塩素酸水が生成できる携帯ギアなどの開発製品が溢れることが、朗報でもあり情報錯綜状態にも

新型コロナ問題が生じ、ベンチャー企業などが次亜塩素酸水に注目し、今までになかった携帯タイプの次亜塩素酸水生成器が開発されています。以前紹介した「じある君」や「ジアイレーサー」もそうですし、最近では「ナジュプラス」という製品など後続する会社も増えています。

ジアイレーサー

こういったユーザーが望んでいた製品開発の動きは応援していますが、そうではない次亜塩素酸水や 次亜塩素酸ナトリウム を悪用した製品や便乗ビジネスに惑わされないような注意は必要です。 

次亜塩素酸水自体は人類が発明・開発した価値のあるものですので、正しい使い方を知ってほしいですし、私は今回の次亜塩素酸水に関する問題には情報操作の側面があると感じています。次回は、そのあたりの背景や事情、そして国の問題点なども素人視点ではありますが指摘していこうと思っています。
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