各国料理に与える「銅」の影響力とは?巨大銅鍋でつくる絶品ビリヤニを取材!

ウイルスへの不活化効果が期待されることで世界各国が改めて注目している「銅」。科学や金属とは縁遠い私が「銅」の不思議な魅力に引き込まれたのは、実は料理やショップなどからの影響がとても大きいです。

3回にわたって取り上げた銅特集、今回は様々な国での食にまつわる情報とさらに私が気になっている銅製品について、そして巨大銅鍋を使っての絶品ビリヤニ(スパイス豊富なインドの混ぜご飯料理)を撮影させてもらえたので、それらをたっぷりご紹介します。

過去2回の銅記事はこちら→銅記事①銅記事②

まずはイギリスから届いた銅製品ニュース

ところでその前に、銅の抗菌力を活かしての大胆な製品化を果たしたニュースがイギリスから届いたので、先にその情報を簡単に。

「Vollebak」というブランドを聞いたことがあるでしょうか。スタートアップ時から発想力と開発力で成長し続けているこの企業が今回完成させたのがフルメタルジャケット

コート全体の65%に銅の糸が織り込まれていて、特殊な3層構造による防水・防風効果も。高機能で耐久性に優れていながら、経年変化で銅そのものの色が表面にあわられるという究極の銅ジャケットです。これまで、ソーラーチャージジャケットや生分解するTシャツなどでも話題を集めてきたVollebak。日本未上陸ですが、興味あるかたはこちらから

日本特有の銅製品といえば…卵焼き器

さて、料理の時に使う銅製品は鍋やフライパンが代表的なものですが、日本独自のものというと卵焼き器が思い浮かびます。前々回の銅の特集でも取り上げましたよね。

実際に購入したい場合、東京だと浅草の千束通り商店街にある「星野銅銀銅器店」まで足をのばすと逸品に出会えます。

料理人から道具好きや銅マニア垂涎の美しい卵焼き器は使い込めば込むほど味わいがでるそうです。

清澄白河の銅製品にこだわるおすすめショップ

ファッション系ブランドの中でも銅製品にこだわっているところがあります。コーヒーのロースターカフェが集結する街として知られるようになった清澄白河に、そんなブームのずっと前から本社・本店を構える「ババグーリ」です。

ドイツ人デザイナーのヨーガンレールさんが1993年代にこの地へ本社を移し、ヨーガンレール・ブランドとは別にババグーリ・ブランドを1階でスタートしたのは2006年とのこと。完全オーガニックのベジタリアン料理という社員食堂が憧れられていて、たまたまご縁があってその食堂にお邪魔させていただいた頃、1階のババグーリでは「銅の壺」という展覧会が行われていました。

故ヨーガンレールさんがインドネシアで探し集めたというアンティークの壺の数々は本当に素敵で今だに思い出します。そんな彼がこだわっていた銅の製品ですが、ババグーリの定番商品としては鍋やケトルやフライパンなどが店頭にラインナップされています。

コトコト煮込む系フランス料理にも銅鍋は重要

日本や、オリエンタルテイストなアジアの料理道具も魅力的ですが、一般的にはフランス料理での鍋やフライパンが銅をイメージする調理器具かもしれません。フランス料理の厨房で銅器具がよく使われている理由を調べたところ、煮込み料理の良し悪しが店のランクを決めるからだそうです。

熱の伝導率が高いため長時間煮込んだりする料理に絶大な威力を発揮するそうで、素材の中から熱を通すことにより肉や野菜の形がくずれにくく火を止めてからも温度が下がりにくいとのこと。また、バターを焦がさずに適温で風味を出すのにも最適なのだと。

お菓子づくりにも活躍する銅製品

お菓子作りの場合も、コンフィチュールを作る時には熱伝導の良さと素材の変色を防ぐことから銅製のジャムボウルを使うのだと、プロの方から聞いたことがあります。

ショコラティエの世界では写真のような銅製マシーンも味の決め手の一つとなっているようですよ。

フランスでは、人々の知恵によって、素材を活かした料理を作るために銅製の鍋やフライパンが使われ続けていることが改めてわかりました。

かまる注目はポルトガルの銅鍋「カタプラーナ」

ヨーロッパでは私はフランスよりもポルトガル料理やスイーツに最近興味が高まっていまして、個人的に今一番欲しい銅製品は、ポルトガルの銅鍋「カタプラーナ」です。

「カタプラーナ」イメージ

蓋をして蒸し煮することでさらに熱伝導がよくなるそうで、少ない水分で素材の旨味をだせる優れものとのこと。台湾の「大同電鍋」的にハマれそうな予感がしていて、「カタプラーナ」とポルトガルについてはまた近々に特集するつもりです。

銅の大鍋パワーでさらに美味しく!インド料理ビリヤニ

最後に、銅鍋を使うと効果的な料理が何かをインド料理シェフのアンキットさんにたずねたところ、ビリヤニを銅の大鍋で定期的に調理しているというので、炊きあがったところへうかがい撮影させてもらいました。

赤いのがパプリカで黄色がサフラン、黒っぽいのが玉ねぎを炒めたもので、炊きあがりを混ぜて出来上がり。うーん、美味しそう!のひとことです。

今回はチキン・ビリヤニですが、銅鍋でつくるとより効果的なのはマトン・ビリヤニだそうで、それは銅鍋の熱伝導効果でよりマトンがやわらかくなるから

昔から生活に銅が息づいているインド

インドでは「からだによい」ことのために悠久の昔から銅が生活に息づいていることを料理からも知ることができてまたまた感動しました。特にスパイスをふんだんに使うカレーやビリヤニには銅鍋のパワーが活きるそうです。

大好きなビリヤニの炊きたて状態をはじめて見ることができて大興奮したかまるでした。北・南インド料理店「アンキットの気持ち」(人形町と浜町店があります)のアンキットさんには、あまり知られていないスパイスのお話しなどもお聞きしたので、次回詳しくご紹介します。

銅鍋が薪ストーブと相性よいらしいことも今回知りました。自粛解除となり、この夏に屋外で銅鍋でのビリヤニづくりにチャレンジできるとよいなと思っています。ここ数年、トレッキングやBBQなどアウトドアで楽しむ機会が少しづつ増えてきているもので。わくわく。
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