ここ数年、健康志向の人やダイエット中の人からの注目度がとっても高い「干しいも」。砂糖や保存料・着色料不使用の自然食品で、食物繊維・ミネラル・ビタミンなどの栄養が豊富なこのスーパーフードの魅力は、前回詳しくご説明しました。
茨城県のソウルフードともいえるこの「干しいも」ですが、様々な種類があることを知っていますか?甘さや黄金色が際立つ新品種の出現により、最近は和スイーツとしてメディアに取り上げられる機会も増えています。
そこで今回は、実際に新旧4種のさつまいもによる「干しいも」食べ比べをしてみたいと思います。ほしいも神社の向かいにある生産者さんから購入したものが、あまりにも美味しかったこともあって!
奥が深〜い干しいもの世界
健康に嬉しいメリットがたくさんあるだけでなく、新品種のこれまでとは違う甘さや食感、そして加工方法までもが進化している「干しいも」。さつまいもの品種により最も違いがでるのですが、昔からの平干しタイプの他に、乾燥日数や労力をより要する丸干しのものも増えてきて、また異なる美味しさを感じられます。さらに、熟成方法による味の違いもかなり興味深いところ。
そういった中、2020年3月にはTV番組「マツコの知らない世界」で、何と「干しいも」特集が!マツコさんがその進化に驚き、ほとんどの製品を絶賛していたのが大変印象的でした。
干しいも4種を食べ比べてみました
それでは、話題の新品種も含め、茨城県の阿字ヶ浦で購入した「玉豊(たまゆたか)」「ほしこがね」「紅(べに)はるか」「シルクスイート」の4種を順にレポートします。
干しいもといえばの「玉豊」
まずは、「干しいも」界の定番、「玉豊」です。1960年に品種登録された「玉豊」は、全国に流通している「干しいも」の約8割を占めるといわれています。一般的に「干しいも」でイメージするのはこの素朴なタイプ。
さつまいもの風味とナチュラルな甘みが口中にじわりと広がり、噛みごたえがしっかりしているのが特徴です。今回購入したものは形が不揃いのお得用パックで、手軽に味わえるのが嬉しいですし、飽きないで食べ続けられて、これぞ「干しいも」という感じでした。
干しいも用に作られた「ほしこがね」
続いての登場は、新品種の一つ「ほしこがね」。農研機構 次世代作物開発研究センターが開発した、「干しいも」加工用のために作られたニュータイプです。
最も流通している「玉豊」超えを目指して開発され、名前の由来にもなった黄色みを帯びた美しい色と、「玉豊」よりもやや甘いところが特徴。「関東120号」の外観の良さと、蒸した時の糖度が高い「クイックスイート」の交配種とのこと。「干しいも」に最適な新品種といわれていて、今回丸干しタイプだったこともあり、スイーツ的な甘さと柔らかくきめ細かな食感とのバランスが絶妙でした!
甘みがピカイチ「紅はるか」
次の「紅はるか」は、2010年に登録された比較的新しい品種。糖度が高いのが特徴です。蜜が染み出している「紅はるか」の「干しいも」は、手触りがかなりしっとり&ねっとり。袋から取り出す際、べたっとしていて手こずるほど。甘さは上品で、「干しいも」特有のくせが少なくて食べやすいです。
九州沖縄農業研究センターで開発された品種だそうで、他のさつまいもに比べはるかに甘いということから「紅はるか」という名付けられたとのこと。他の品種と比べて食物繊維が2倍含まれていることや、糖分はカロリーが少ないといわれる麦芽糖の割合が多く、美容や健康を意識した人たちが指名買いをしています。
絹のようななめらかな食感「シルクスイート」
「シルクスイート」は、甘みがしっかりとのった「干しいも」で、ほどよくねっとりとした柔らかな舌触りが特徴。2012年から種苗の販売が開始された新しい品種で、「春こがね」に「紅まさり」を交配させたもの。
マツコさんが「すごい柔らかい!なんか、、みずみずしい!これは万人受けしそうな、飽きのこない感じ。」と評した、絹のようになめらかなタイプで女性人気抜群。「干しいも」としてももちろん美味しいですが、焼きいもにした時の甘さや食感がたまりません。
「干しいも」は、産地によって製法が異なることを今回初めて知りました。江戸時代発祥といわれる静岡県や明治時代から生産が始まった茨城県では蒸してから、鹿児島県産は焼いてから天日干しするのが基本なんだそうです。鰻の蒲焼きの蒸しと焼きの違いみたいで面白いですね。
なお、天日干しの期間は、約1週間~1ヶ月とのこと。丸干しの大きなタイプになればなるほど手間暇がかかります。そういうところからも、「干しいも」はもう高級スイーツの域に達しているのかも。
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