パンとパンクとブレイディみかこと。鎌倉カノムパンでU.K.カルチャーに思いを馳せる

前回、絶品パンのお取り寄せについてご紹介した鎌倉扇ヶ谷の「カノムパン」。お店が、パン店だけでなくカフェやシューズ工房との集合体ということと、鎌倉でもなかなかない立地なこと、そしてとにかくパンチある酵母パンが堪らないことを感じていただけたと思います。

今回は、さらにさらに、「カノムパン」店主の世界観がかなり楽しく私が好きなことともつながったので、いつもとは違う趣向ですが「イギリス」(U.K.という方がしっくりきます)をテーマにつづりたいと思います。

ロゴマークに反応してしまいました!

まず私がカノムパンへはじめて行った時に目に入ったのが、そのロゴ。「ん?どこかで見たことが…」と感じたあなたは、パンクという音楽ジャンルを知っているかファッションや映画などからU.K.カルチャーを遡ったことがある人だと思います。

このロゴマークのベースとなっているものは、Public  Image Limited(パブリック・イメージ・リミテッド)というバンドの、頭文字をとったバンド・ロゴで、リーダーのジョン・ライドンがつくったそうです。

友人所有Tシャツ

Pがカ、iがノ、Lがムと、絶妙なハマりかた。リスペクト感があふれているのと、完成度の高さにしびれました。カノムパン店内にはいるとすぐわかりますが、店主のジョン・ライドン及びパンクロックへの愛が感じられ、といってノスタルジックではなく、新旧U.K.カルチャーの魅力がカフェの本棚からも伝わってきます。

PiLとは、ジョン・ライドンとは

ジョン・ライドンを知らないかたに簡単な説明を。セックス・ピストルズは聞いたことがある人も多いと思いますが、この伝説的パンク・バンドのリードボーカルがジョン・ライドンで、1980年代の音楽・ファッションなどカルチャー全般に大きな影響を与えました。

ピストルズ解散後、PiLを結成し精力的な活動を1990年代まで続けていたのは私もうっすら記憶があります。PiLは再結成して、2011年にサマーソニックで来日してましたね。

ジョン・ライドンの最新情報としては、今秋に新刊「I Could Be Wrong, I Could Be Right」が出版されるそうで、それにあわせて興味深いツアーを行うそう。

セックス・ピストルズとPiLでの日々を振り返り、自身のアート、生涯について語るらしく、2000年代にはいってイギリスのTVのリアリティ番組等に出演した彼の活動から想像すると、観客との対話形式のライブを試みるのかもしれません。なお、書籍の日本発売についてはまだ情報がオープンになっていないようです。

1978年から1982年に注目したポスト・パンク本の発売情報が!

また、そんなPiLの特集記事も掲載されている書籍ポスト・パンク・ディスク・ガイド・ブック1978-82 オルタナティブとニューウェーブ」という長いタイトルの本が、ちょうど今年7月に発売されると、友人の編集者からの情報が。

この4年間(1978~1982年)は、PiLはもちろん、後述する「ザ・スミス」も1982年結成ですし、YMOやプライマル・スクリームなどが誕生した背景などを詳しく知ることができるそう。今年の夏季休暇の楽しみにしたいと思っています。

U.K.カルチャーといえば話題のこの人…

カノムパン店主しかり、私も含めU.K.カルチャーに惹きつけられた人は多いのですが、今話題のブレイディみかこさんもその1人です。ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーが、Yahoo!ニュースと「本屋大賞」が連携した「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2019年ノンフィクション本大賞」のほか多くの賞を受賞して、最近はテレビでもよく見かける彼女。

音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、イギリスで保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始したことがいくつかの作品からもわかります。「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベート色が濃い一冊だと感じました。彼女はイギリス南部のブライトンという街で、大型ダンプの運転手をしているアイルランド出身の配偶者と一緒に20年以上前から暮らしているそう。彼女たちには中学生の息子がいて、彼がこの作品の主人公です。

イギリスの底辺を体感している彼女のここ数年の作品からは、あまり日本人には知られていない移民の問題やブレグジットの本質などを知ることができ、応援していた作家の一人ですし、これだけ注目されていることは色々嬉しいです。

ブレイディみかこさんへの興味のはじまり

彼女への興味が深まったのは、2017年発刊の「いまモリッシーを聴くということでした。何を隠そう、私は若い頃それなりの腐女子で、特に「ザ・スミス」というバンドにラブ状態でして…。

ジョン・ライドン以上に説明が必要かもしれませんが、シンプルに書くと、1980年代にイギリスの若者に熱烈支持されたロック/ポストパンクバンドが「ザ・スミス」で、そのボーカルが「モリッシー」です。屈折していながらユーモラスな彼の歌詞やイギリス社会・政治をテーマとしていたことなどから、彼女がモリッシーをテーマとして書いたのは必然であり私にとっても感じることが多い内容でした。

いつかそんなお話しをしてみたいなあ、と思いつつ、彼女の新刊「ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたちを楽しみにしている今日この頃です。

カノムパンのお蔭で、また、ブレイディみかこさんの本を読むにつけ、イギリスの今を感じてみたくなっています。自粛が完全に解除となり両国ともに迷惑が生じない状態となったら、久々にロンドンへの旅計画をたてたいですね。

ということで、次回はイギリスの伝統+モダン・デリやスコーン等のお店「SWAN&LION」をご紹介します。こちらも、カノムパンと同じようにロゴマークにこだわりがありカッコよいですよ♫

〈テールベルト&カノムパン〉
所在地:神奈川県鎌倉市扇ヶ谷3-3-24
TEL:0467-67-1339
営業時間:12:00-18:30(L.O.18:00)
定休日:水・木曜日
公式ショッピングサイト:https://khanompang.stores.jp/

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