東京生まれ東京育ちの私にとって、地方へ旅行した時に味わう地産の野菜やハーブの味の濃さ・美味しさには、舌だけでなくからだが素直に喜びます。
今は、海外はもちろんのこと国内もGo To出来ないため、2019年に発売された「社会派化粧品」という本を改めて読み直して、ナチュラルコスメの原料となる日本各地の植物やハーブに思いを馳せてみました。
日本のナチュラルコスメを紹介した一冊
「社会派化粧品」は、北海道下川町の「NALUQ(ナルーク)」から沖縄県宮古島市の「naure(ナウレ)」まで、日本各地で大切に育まれた自然の恵みから生み出されているナチュラルコスメ17ブランドを丁寧に取材した一冊です。
各土地の人々が、町おこしを目的として始めたところもあれば、その土地の原料に惚れ込んだメイクアップアーティストと現地が取り組んだもの、さらに家族のためがきっかけの製品などなど、どのブランドも人の想いとストーリーが大変魅力的。とにかく原料の素晴らしさと開発者のこだわりが誌面から伝わってきますし、生産者との出会いなどのエピソードからはその土地の雇用や経済も無理せず活性化していることが想像出来て、嬉しくなります。
四季が豊かで草花が美しい日本の素晴らしさも改めて実感。その地域だからこそ結実したナチュラルコスメの数々から、私が注目しているブランドをいくつかご紹介します。
注目①東京発2ブランド
この本の中で東京のブランドは2社あり、その1つ「amritara(アムリターラ)」の方は10年近く前から時々使っています。2008年の誕生以来、国内のオーガニックコスメ業界を牽引してきた感のあるこのブランド。創業者の勝田小百合さんが綴るブログ「アンチエイジングの鬼」のタイトルを含めた内容に、まず強力なインパクトを受けたことを思い出しますね。
厳選された有機植物の力で肌を健やかな状態に導く「フィトエナジー」をテーマに、スキンケア・コスメ・食品・サプリメントなど様々なオーガニックプロダクトを世に生み出しています。その超ストイックな姿には尊敬の一言。スキンケアアイテムの原料となるハーブは、九州に構えるアムリターラ農園で自社栽培。そこでは、米やモリンガも栽培しているそうです。
東京発のもう1ブランドは「NEROLILA botanica(ネロリラ ボタニカ)」。日本のミカン科の花から得られる精油(ジャパニーズネロリ)にこだわり続けているオーガニックコスメです。その香りに興味はあり少し前からチェックをしていましたが、残念ながらまだ使ったことはありません。佐賀県唐津のミカンのほか愛媛の甘夏、そして後述する奈良県の水や茶葉など、常によいものを追い続けていて注目です。
注目②日本初の自然農法コスメ
また、奈良市の「QUON(クオン)」も、表参道のシンシアガーデンというスパ&カフェ&ショップにセレクトされています。
この「初摘みミスト」が今一番気になっている製品の筆頭ですね。2011年にスタートしたこのブランドは、日本初の国産ワイルドクラフト(自然農法)コスメで、大和茶をはじめとした自然原料追求の姿勢には脱帽です。
社会派化粧品で奈良が放つ存在感
そうそう、社会派化粧品で取り上げられているブランドから気が付いたこととして、関西エリアの中では奈良の地のパワーが注目されているように感じました。
本で扱われている奈良県ブランド数も多いのですがそれだけではなく、大阪の「IERU(イエル)」は奈良県曽爾村の大和 当帰 を、東京の「NEROLILA botanica」は奈良県天川村にある湧き水のごろごろ水にこだわり活用していたりします。
「社会派化粧品」は単純な美容本ではない?!
日本でオーガニックコスメに真摯に向き合ってきたキーパーソンやプロデューサーのインタビューや対談内容も、美容という視点だけではなく、まさに社会性について語られています。
これまでのオーガニックコスメ本と本質的な部分で異なる感じなのはどうしてだろう?と思った時に改めて著者に目をとめてみたところ、化粧品とは別ジャンルの本のことを思い出しました。そう、著者の萩原健太郎さんの名前を私が知ったのは、コスメ本ではなく「民藝の教科書」シリーズからなんです。
民藝の教科書シリーズとの共通点
私が大好きな鎌倉「もやい工藝」前店主の久野恵一さんが監修したこの6冊からなる民藝本シリーズは、ビジュアルも大変美しくて、解説やマップなどもわかりやすく民藝の歴史も学べます。
社会派教科書も民藝の教科書も、構成や文章はもちろんですが、デザインやビジュアルが本当に素敵で、それは著者の萩原さんのセンスであり世界観なんだということが今回改めてわかりました。
萩原氏の世界観を堪能できる北欧本二冊
また、アクタスという、インテリアショップの先駆けの会社にいてデンマーク留学もされた経歴が比較的直結している著作としては、「フィンランドを知るためのキーワードA to Z」と「北欧の絶景を旅する アイスランド」という作品があります。
2019年に出版されたこの二冊は、北欧好きにとってはたまらない美しくて便利な本。フィンランドの方は、AからZまでのキーワードで楽しみながらフィンランドの魅力を知ることが出来る一冊。建築やデザイン関係のワード解説が個人的には面白かったです。
アイスランド本については、かまる流てきにはヴァーチャル旅企画化したくなりました。アイスランドを一周することで撮影された氷河やフィヨルド、火山、温泉、廃墟などは必見。首都レイキャビクの最新スポット情報もなかなか楽しいです。